今回の「将棋上達のヒント」は、将棋の知識に関しての「メジャーとマイナーの分析」についてです。
多くの将棋ファンは、将棋の手筋に関して多種多様の知識を持っています。昔と異なり今は優秀な将棋の本が多数存在し、アマチュア将棋ファンでもそれらを容易に獲得できるようになりました。しかし、それらの知識を適切に分析し活用できているでしょうか?
例えば、この「将棋上達の探求」でもたびたび取り上げている「寄せの手筋200」ですが、これらを解くだけでなく活用の上での分析ができているでしょうか?
寄せの手筋200 (最強将棋レクチャーブックス)
一例を挙げれば、「竜・飛の活用」や「腹銀の手筋」は頻繁に使用していたとしても、「馬・角の活用」や「両王手の手筋」はほとんど使用していないかもしれません。
今上記の本を手元に持っている方は、パラパラとめくって確認してみましょう。その時に多くの方があることに気が付くはずです。それは、一部の手筋しかメジャーな使い方をしていないということを。そして、残りはマイナーであることに。
ここで、有名な「パレートの法則」について触れておきます。ウィキペディアでは以下のような説明をしています。
パレートの法則
概要
パレートの法則は、働きアリの法則と同じ意味合いで使用されることが多く、組織全体の2割程の要人が大部分の利益をもたらしており、そしてその2割の要人が間引かれると、残り8割の中の2割がまた大部分の利益をもたらすようになるというものである。経済以外にも自然現象や社会現象など、さまざまな事例に当て嵌められることが多い。ただし、パレートの法則の多くは、法則と言うよりもいわゆる経験則の類である。自然現象や社会現象は決して平均的ではなく、ばらつきや偏りが存在し、それを集約すると一部が全体に大きな影響を持っていることが多い、というごく当たり前の現象をパレートの法則の名を借りて補強している場合が少なくない。
例(一部省略)
@商品の売上の8割は、全商品銘柄のうちの2割で生み出している。→ロングテール
A売上の8割は、全従業員のうちの2割で生み出している。
B仕事の成果の8割は、費やした時間全体のうちの2割の時間で生み出している。
C故障の8割は、全部品のうち2割に原因がある。
D住民税の8割は、全住民のうち2割の富裕層が担っている。
Eプログラムの処理にかかる時間の80%はコード全体の20%の部分が占める。
F全体の20%が優れた設計ならば実用上80%の状況で優れた能力を発揮する。
つまり、上の例と同じようなことが、将棋の手筋活用でも起きているのです。
要するに、既知の将棋の手筋活用で、メジャーが2割、マイナーが8割ということです。メジャー2割の手筋で手筋全体の使用頻度の8割を占めているのです。
次回から手筋系の本を解く時は、「この手筋は使ったことがあるかな?」とか「頻繁に使用しているかな?」と確認しながら解いてみましょう。そうすれば、自分の傾向と弱点、そしてその先の対策が見えてくるものです。
ちなみに、私の場合、「龍・飛の活用」と「退路封鎖」で全体の約8割を占めています。「両王手」は滅多にありません。「腹銀」も少ないです。
以上のことは手筋に限ったことではないので、いろいろな場面でメジャーとマイナーの分析をしてみましょう。きっと「将棋上達のヒント」になるはずです。
なお、「パレートの法則」は必ずしも80対20になるわけではなく、70対30、あるいは60対40の場合もあります。つまり、「パレートの法則が当てはまることが全体の80%で当てはまらないことが20%になる」ということかもしれません。
最後までご覧いただきありがとうございました。
次回の投稿予定は10月13日(日)です。