前回投稿した「将棋・超やばい話 日本将棋連盟の大失態<前編>」の続きです。今回も問題を載せます。
第2問 後手7四歩まで第2問の解答は、6六角でしょうか?いまだにわかりません。ずっと昔に六段コースを卒業した私でもわからないのです。
解答として考えられるのは、6六角、8六歩、8三歩の手順です。下の将棋盤をご覧下さい。
第2問 後手7四歩までこの手順ならば確かに先手の形勢がいいです。しかし、6六角に対して、8六歩が最善手とは思えません。この手に対して、後手7三銀や7三桂、あるいは3一角や4三金でも、先手が有利・優勢にはならないはずです。
念のため問題局面で解析しますと以下のようになります。
文字が小さいので結論を書いておきますと、問題の選択肢にあった@8七歩やA6六角では将棋の形勢は互角ということです。選択肢Bの5四歩では後手8六歩で後手優勢になりますから、全くの論外です。
激指六段+++は激指七段+に等しいレベルのはずです。某A級プロが激指七段に全く勝てないと発言しています。激指六段+++でさえ先手有利・優勢になる手順が見つからないということは、この第2図で正解手はないということになります。
ましてや、問題に挑戦する熱心な将棋ファンのレベルは級位者です。正解を実力で発見できるはずがありません。おそらく問題回答者の多くが勘で選択肢を選んだはずです。
これでは実力判定や実力養成の問題としてふさわしくありません。仮に勘で解いて卒業しても、日本将棋連盟が発行した卒業証やこれによって取得できる正式免状や認定状の意味がなくなります。
第2問は、明らかに不適切な問題です。<<<ここからが追記です。>>>引き続き第3問です。問題を再掲します。
第3問 後手3四歩までこれもまた一目や一睨みでは解けませんでした。8月3日ごろに挑戦した後、8月13日に再び挑戦したのですが全くわかりませんでした。
それで仕方なく将棋ソフト激指六段+++で解析したところ、以下のような結果になりました。見にくいので念のため説明しておきます。
選択肢@の3四同歩の場合、互角(222)となります。A4五歩では互角(−194)、B2四歩でもやはり互角(61)となり、先手が有利・優勢となる正解手はありませんでした。これも不適切な問題でした。
最後に第4問です。問題を再掲します。
第4問 後手1一香までこれも一目ではわからなかったのですが、15秒ぐらい考えて以下の手順が浮かびました。それは、1二歩、同香、1一銀、同玉、1三歩、同香、同飛成、1二歩、1四竜(または1七竜)でした。その将棋盤を載せておきます。
第4問 後手1一香に対して先手1二歩の場合残念ながら、これでも先手がよくなりません。前問までと同様に激指六段+++に頼らざるをえませんでした。その結果が次の画像です。
事情があって画像をクリックしても拡大しませんので、簡単に説明します。選択肢@の1二歩では互角(−135)となります。そして、選択肢A1三歩とB3四飛は五択のなかに入っていません、つまり、激指六段+++は選択肢ABをありえない指し手である判断しています。<解析候補を10まで広げれば出てくるかもしれませんが、そこまで必要な問題を級位者コースの問題にすべきではありません。>
以上のように第2問、第3問、第4問ともに、明らかに不適切な問題でした。日本将棋連盟は今回の大失態を猛省するべきです。決して笑って済ませられるようなことではありません。応募者は少ないかもしれませんが(失礼?)、日本中の将棋世界愛読者が解いている昇段コースです。将棋ファンから見放されないように、二度と同じ失敗をしないようにしなければなりません。
今回の問題を引き起こした原因は、部外者にはわかりません。ここからは想像なのですが、原因はおそらく人手不足だと思われます。その対策としては、例えば、問題作成後モニターに問題を解いてもらうなどはいかがでしょうか。ここでのモニターとは、過去の昇段コース卒業者や道場5級前後の方、あるいは将棋を指せる連盟職員のことです。もちろん、協力者には無料で取り組んでもらい人件費はかけません。それぐらいの時間と労働をかけて適切な問題を作り続けなければ、昇段コースの存在意義が問われてしまいます。プロは絶対に言い訳ができないのです。
なお、記事タイトルでも書いたように、こういう不適切な問題を出題してしまった場合は、第2〜4問の回答者全員に満点をあげるべきです。もちろん、将棋世界誌や日本将棋連盟ホームページ(HP)上で、誠意をもって謝罪する必要があります。
多種多様な意見や感想があるでしょうが、日本将棋連盟と将棋世界、そして昇段コースを応援しているからこその厳しい意見です。どうぞご理解下さい。
また、すでに10月上旬に発売される将棋世界11月号で何らかの対応がされているかもしれません。今日2019年9月27日(金)の時点では確認の仕様がありませんので、予めご了承下さい。